えむおの人生アップデートブログ

会社に居場所はありませんでした。頭の中に答えもありませんでした。だから行動するしかありませんでした。その中で得られた知識・考え方をあなたに提供し、アップデートさせます。

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【必見】締切と苦悩:文豪たちの戦い

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読んで欲しい人

  • 文豪たちの逸話を知りたい人
  • 締切で苦労したことがある人
  • 今、締切まで余裕がある人

締切に追われたことがあるあなたへ

締切。〆切。しめきり。

社会人ともなれば、ずっと付き合わなければいけないもの。

毎回、締切とギリギリの戦いをしている方もおられるでしょう。

 ぼく自身のことですが…。

 

ですが、あなただけが締切に苦しめられているわけではありません。

実は、

  • 夏目漱石
  • 江戸川乱歩
  • 太宰治
  • 村上春樹
  • 手塚治虫

などの名だたる文豪たちも締切と向き合い、苦しんでいたのです。

 

そして文豪たちは、その締切の苦しみを手記や手紙などで残してくれています。

それを集めたものが、こちら。

その名も『〆切本:出版  左右社』です。

 

この本は、世にも珍しく『〆切』に着目し、作家90人の〆切にまつわる言い訳、魂から滲み出た言葉を集めた本です。

 『〆切』という着眼点が素晴らしい。

 

内容は、〆切に対するありがたい考え方ではありません。

もう既に表紙に

「どうしても書けぬ。」

「あやまりに文芸春秋社へ行く。」

「拝啓 〆切に遅れそうです」

出典:〆切本 出版社:左右社

と書いてある時点で、想像がつくかも知れませんね。

 

間に合わない恐怖心が勝ってしまい、守らざるを得ない人、〆切延長を訴える人、嘘をつく人、そもそも最初から守る気がない人など本当に様々な〆切との向き合い方が掲載されています。

 だからこそ、読み応えがあります。

 

そのそれぞれが魂から滲み出た言い訳、言葉には、妙に親近感が湧き、思わずにやけてしまいます。

 「文章が書けない理由は、書けるんだ」という思いも抱きながら(笑)

 

今回は、そんな文豪たちの魂から滲み出た言葉たちをほんの少し紹介したいと思います。きっと驚くはずです。

小説家 井上ひさし氏の場合

人形劇『ひょっこりひょうたん島』や小説『吉里吉里人』を生み出した井上ひさし氏は、ある病気について言及されています。

 

その名も『罐詰病(かんづめ病)』

原稿の依頼を引き受けることで発症するらしい。

死にいたる病ではないそうですが、潜伏期間が厄介だそうです。

そしてその潜伏期間は井上ひさし氏の研究によると以下のように表せるらしいです。

Sは潜伏期間であり、Gは原稿用紙の枚数であり、Nは締切日までの残り日数であり、Iはその作物に対する患者の意気込みであり、Mはその作物を完成した場合に患者の受ける報酬(いうまでもなく原稿料のことだ)である。

〜中略〜

ところでHとは何か。これは編集者の原稿取立て術の稚拙である。つまり編集者の原稿取立て術が上手であればあるだけ潜伏期間が短くなるわけだ。

出典:〆切本 『罐詰体質について』より 出版社:左右社

まさかの数式。もう凄いの一言しかありません。

ここまでくると締切に対する言い訳なのに文才を感じ、ある意味気持ちよさまで感じてしまいます。

井上ひさし氏は、「医学会で発表したい」とまで書いてあるぐらいに、この病気に関してしっかりと考察されております。

「これだけしっかりと書けるなら、本業の方も…」とツッコミたくなるほどに。

小説家 横光利一氏の場合

小説『日輪』、『機械』などを生み出した横光利一氏は、単なる労働記録としながらも次のような文章を残しています。

引き受けた原稿は、引き受けたが故に、必ず書くべきだとは思ってはゐない。何ぜかと云へば、書けないときに書かすと云ふことはその執筆者を殺すことだ。

出典:〆切本 『書けない原稿』より 出版社:左右社

間違いなく担当者の心にストレートに刺ささったことでしょう。

この文章を見た時、当時の担当者はどう思ったのでしょうか。

 

また違った一面も書かれています。

書けない時と来た日には、どうしても書けるものではない。私は家の中を歩き廻る。要もないのに、ふと気がつくと便所の中に這入ってゐる。おや、こんな所へ何をしに来たのかと思って又出てくる。

出典:〆切本 『書けない原稿』より 出版社:左右社

とも残しており、リアルに "書けないことの苦しみ" が伝わってきます。

 

このことから "決して言葉は天から降ってくるものではなく 、耐え抜いて、耐え抜いて、苦しみ抜いた先で絞り出している" ということが伝わってきます。

勇気と元気がもらえる

他にもたくさんの文豪たちの逸話があります。

本当に『〆切』に関することだけで、一冊出来上がってしまっています。

言い換えると誰もがそれだけ様々な経験をしているということでしょう。

 

『サザエさん』の長谷川町子さんは、

もう締切ギリギリ、担当者を一階で待たせたまま、原稿の書き直しを実行。

インクはガスコンロで炙って乾かすなどの技を繰り出しながら、書き上げます。

その解放感から、ボツにした原稿を八つ裂きにします。

ですが、その八つ裂きにしたのは、先ほど仕上げた書き直した方の原稿。

「バカだよ、あたしゃ‥」と呟きます。

 ♪財布を忘れて愉快なサザエさん♪と歌っている場合ではありません。

 

このような絶望を経験しながらも、おもしろおかしく後世の人たちが読めるように文章に残してくれているわけです。

 

本当にありがたいことです。

 

ぼくは、この本を読むと

「大丈夫。みんな通ってきた道」というメッセージに思えて、なんか勇気をもらえるんですね。またユーモア混じりの表現でクスッと笑えて元気ももらえたりします。

だから「ぼくの中では読んだ価値があった」と言える本でした。

 

そして最後に〆切に関して大切なことを小説家 山田風太郎氏が述べられているので紹介したいと思います。

発想の最大原動力は原稿の締め切りである

出典:〆切本 『私の発想法』より 出版社:左右社

本当にこの通りで

『締切があるからこそ、やり始める。そして何かを生み出すことができる・成し遂げられる』という一面もあります。

 

〆切に関して様々な見解を展開している文豪たちですが、

〆切が故にこそ書き切ったからこそ(期日を守ったかどうかは別) 、

『名著』が生まれたというのも事実です。

 

ついつい人は、後からやろうと思っていつまでもやらないパターンになってしまうもの。

簡単に言うと、人って〆切にケツを叩かれないと始められないんです。

そういった面ではありがたいことですよね。

まぁ辛い部分もあるわけですが、お互いに頑張りましょう。

 

今回『〆切本』を紹介しました。

機会があれば手にとってみてくださいね。